【レベル1】Webマーケティング用語47選|経営者とWeb担当者が最初におさえる基本
こんにちは、朝倉です。
「代理店から届いたレポートに、ROASとCPAとCVRが並んでいる。数字は良さそうだが、これで本当に儲かっているのか分からない」
——中小企業の経営者から、いちばん多く聞く言葉です。
Webマーケティングの用語は、意味を調べれば5秒で出てきます。しかし本当に必要なのは「意味」ではなく、その数字を見て自社の判断ができることです。
この記事は、その第一歩として押さえるべき47語をまとめました。ひとつ、普通の用語集と違う点があります。
この記事は、CTRやCVRから始めません。「粗利率」から始めます。
理由は単純です。「CPA5万円」が高いのか安いのかは、自社の粗利額を知らなければ永遠に判断できないからです。Webの指標だけを覚えても、判断力は1ミリも上がりません。順番には意味があります。
この記事の位置づけ(レベル1〜5について)
当社では、経営者・Web担当者に必要なマーケティング用語を、習熟度で5段階に分けて解説しています。
| レベル | 到達状態 |
|---|---|
| レベル1(この記事) | 読める:提案書・レポートの言葉の意味が分かる |
| レベル2 | 判断できる:その施策が良いか悪いかを自分で評価できる |
| レベル3 | 配分できる:複数の施策に、根拠を持って予算を割り振れる |
| レベル4 | 疑える・繋げられる:数字の妥当性を検証し、経営戦略に接続できる |
| レベル5 | 組み立てられる:発注者を卒業し、自社の仕組みとして回す |
この記事を読み終えると、代理店や制作会社との打ち合わせで、話についていけない言葉がなくなります。
全編で使う事例:リフォーム会社A社
-
用語がバラバラに頭に入らないよう、この記事では一貫して同じ会社を例に使います。
A社(地方でリフォーム工事を手がける会社)
年商:1億2,000万円
平均受注額:100万円/件
粗利率:30%(=1件あたりの粗利は30万円)
Web経由の問い合わせから受注に至る割合:20%
この4つの数字だけで、47語のほとんどが説明できます。逆に言えば、自社のこの4つを言えない状態では、どんな施策も評価できません。
1-A. 収支の基本(10語)
Webの話をする前に、まず自社の「儲けの構造」です。ここが分からないまま広告を出すのは、燃費を知らずに給油量を決めるようなものです。
1. 売上総利益(粗利/あらり)
売上高から、原価を差し引いた利益。
計算式:売上総利益 = 売上高 − 売上原価
A社が100万円のリフォームを受注し、材料費と外注工事費が70万円かかったなら、粗利は30万円です。
なぜ最初にこれかというと、マーケティングに使えるお金の原資は、売上ではなく粗利だからです。売上100万円の案件でも、使えるのは30万円の枠の中だけ。ここを混同したまま「売上が上がったから成功」と判断する事故が、非常に多く起きています。
2. 粗利率(売上総利益率)
売上のうち、何%が粗利として残るかを示す割合。
計算式:粗利率(%)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
A社は30万円 ÷ 100万円 = 30%。
この記事でいちばん覚えて帰っていただきたい数字です。粗利率が分かると、「1件の受注に、最大いくらまで広告費を使えるか」が逆算できます。A社なら、1件あたり30万円の粗利。広告費に15万円使っても、まだ15万円残る計算です(実際には固定費の負担があるので、もっと絞ります)。
業種による差は非常に大きく、飲食業で60〜70%、小売業で20〜30%、建設・工事業で20〜30%、SaaSなど無形サービスで80%超もあります。同じ「CPA1万円」でも、粗利率が違えば意味が正反対になります。
3. 原価率
売上のうち、何%が原価で消えるかを示す割合。粗利率の裏返し。
計算式:原価率(%)= 売上原価 ÷ 売上高 × 100
A社なら70%。粗利率30%と足して100%になります。飲食店では「フードコスト」とも呼ばれ、日常的に管理されている数字です。
ここに注意:Web施策で「値引きキャンペーン」を打つと、売上は伸びても原価率は悪化します。集客数だけを見て成功と判断せず、原価率がどう動いたかを必ずセットで確認してください。
4. 固定費
売上がゼロでも、毎月かかり続ける費用。
家賃、正社員の人件費、リース料、サーバー代、サブスク型ツールの月額費用などです。
Webマーケティングの文脈では、制作会社への月額保守費や、MAツールの月額利用料が固定費にあたります。「月3万円だから安い」と契約したツールが5つあれば、年間180万円の固定費です。売上が落ちた月にも容赦なく出ていきます。
5. 変動費
売上に比例して増減する費用。
材料費、仕入原価、販売手数料、成果報酬型の広告費などです。
固定費と変動費の区別は、リスクの取り方の設計そのものです。当社が「レバレッジ経営(固定費を持たず変動費で構成する)」を重視しているのも、地方の中小企業ほど売上の変動が読みづらく、固定費が経営を圧迫しやすいためです。
6. 損益分岐点(BEP:Break Even Point)
利益がちょうどゼロになる売上高。ここを超えて初めて黒字。
簡易な計算式:損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 粗利率
A社の月間固定費が300万円、粗利率30%なら、300万円 ÷ 0.3 = 月商1,000万円が分岐点です。
この数字を知っていると、広告の目標が具体的になります。「月商1,000万円に届いていない。あと2件、100万円の受注が必要。1件あたり広告費30万円までなら投じる価値がある」——このように、感覚ではなく計算で判断できるようになります。
(※より正確には「限界利益率」で計算します。レベル2で解説します)
7. 販管費(SG&A:販売費及び一般管理費)
商品を作る原価以外の、売るため・会社を回すための費用。
広告宣伝費、人件費、家賃、通信費などが含まれます。Web広告費も制作費も、会計上はここに入ります。
粗利から販管費を引いたものが営業利益です。つまり構造としては、こうなります。
売上高
− 売上原価
= 売上総利益(粗利)
− 販管費(←広告費・制作費はここ)
= 営業利益
「広告費は粗利を食う」という位置関係を、図で覚えておいてください。
8. 広告宣伝費比率
売上高に対して、広告費が何%を占めるかの割合。
計算式:広告宣伝費比率(%)= 広告宣伝費 ÷ 売上高 × 100
業種による目安(あくまで参考値):
| 業種 | 目安 |
|---|---|
| 全業種平均 | 売上の3%前後 |
| BtoC通販・化粧品・健康食品 | 10〜20%(それ以上も) |
| 飲食業 | 2〜5% |
| 建設・工事業 | 1〜3% |
| BtoB製造業 | 1%前後 |
ここに注意
- この比率は「同業他社と比べるため」の数字であって、これを守れば儲かるという数字ではありません。粗利率が高い事業なら比率が高くても成立しますし、その逆もあります。あくまで異常値を発見するための健康診断だと考えてください。
9. 営業利益
本業でどれだけ儲けたかを示す利益。
計算式:営業利益 = 売上総利益 − 販管費
Web施策の最終的な評価は、ここが増えたかどうかで決まります。「アクセスが2倍になりました」「問い合わせが増えました」という報告は、営業利益に繋がって初めて成果です。
打ち合わせで使える質問:「その施策で、営業利益はいくら増える見込みですか?」——この一言を投げるだけで、提案の解像度が変わります。
10. キャッシュフロー(資金繰り)
実際に手元を出入りするお金の流れ。利益とは別物。
Webマーケティングで見落とされがちな論点です。広告費は先に出ていき、受注・入金は後から来ます。
A社の例で言えば、5月に広告費50万円を支払い、問い合わせが6月に受注、工事完了・入金が8月——というズレが起きます。帳簿上は黒字でも、手元の現金が尽きれば会社は止まります。
ここに注意:「利益が出るなら広告を増やそう」と判断する前に、入金までの期間(サイト)を確認してください。特に商談期間の長いBtoBや建設業では、これが致命傷になり得ます。
1-B. 費用対効果の基本(7語)
ここからがWebマーケティングの中心です。ただし、すべて前章の「粗利」と結びつけて読んでください。
11. ROI(アールオーアイ/投資収益率)
投じたお金に対して、どれだけ利益が返ってきたかを示す指標。
計算式:ROI(%)= (利益 − 投資額) ÷ 投資額 × 100
A社が広告費50万円を投じて、2件受注(粗利60万円)できたとします。 ROI = (60万 − 50万) ÷ 50万 × 100 = 20%
ROIがプラスなら投資として成立、マイナスなら赤字です。ROASと違い、ROIは「利益」で見る——これが決定的な違いです。次項でその違いを説明します。
12. ROAS(ロアス/広告費用対効果)
広告費1円に対して、いくらの「売上」が返ってきたかを示す指標。
計算式:ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100
この記事で最も注意して読んでいただきたい用語です。
代理店のレポートに「ROAS 300%達成!」と書かれていたとします。広告費100万円で売上300万円。一見、大成功に見えます。
しかしA社の粗利率は30%です。売上300万円の粗利は90万円。そこから広告費100万円を引くと、10万円の赤字です。
| 見え方 | 数字 |
|---|---|
| ROAS | 300%(好調に見える) |
| 売上 | 300万円 |
| 粗利(30%) | 90万円 |
| 広告費 | −100万円 |
| 実際の損益 | −10万円(赤字) |
ここに注意
- ROASは売上ベースの指標です。粗利率を掛けずにROASだけで判断すると、「好調な赤字」を垂れ流すことになります。ROASの損益分岐点は「1 ÷ 粗利率」で計算できます。A社なら1 ÷ 0.3 = 約333%。ROAS 333%を超えて、ようやくトントンです。
13. CPA(シーピーエー/顧客獲得単価)
成果(コンバージョン)1件を獲得するのに、いくらかかったか。
計算式:CPA = 広告費 ÷ コンバージョン数
A社が広告費50万円で問い合わせを25件獲得したなら、CPAは2万円です。
CPAの本当の使い方は、「いくらだったか」の集計ではなく、「いくらまで許容できるか」の事前設定にあります。A社の場合:
- 問い合わせから受注に至る割合:20%
- つまり受注1件に必要な問い合わせ数:5件
- 受注1件の粗利:30万円
- 問い合わせ1件あたりの上限CPA:30万円 ÷ 5件 = 6万円
この6万円が上限ライン。実際には固定費や利益を残す必要があるので、目標CPAは2〜3万円に設定します。この計算をせずに広告を始めるのが、いちばん多い失敗です。
14. CPC(シーピーシー/クリック単価)
広告が1回クリックされるごとにかかる費用。
計算式:CPC = 広告費 ÷ クリック数
リスティング広告の基本単位です。競合が多いキーワードほど高騰し、「リフォーム 三重」のような地域+業種ワードでも数百円〜千円台になることは珍しくありません。
CPCが高いこと自体は問題ではありません。CPCが高くても、CVRが高ければCPAは下がります。単価だけを見て「高いから止める」と判断しないでください。
15. CPM(シーピーエム/インプレッション単価)
広告が1,000回表示されるごとにかかる費用。
計算式:CPM = 広告費 ÷ 表示回数 × 1,000
主にディスプレイ広告やSNS広告で使われます。クリックではなく表示に対して課金されるため、認知拡大が目的の施策で用いられます。
ここに注意:CPM課金の広告は、クリックも問い合わせもゼロでも費用が発生します。「安く大量にリーチできた」という報告を受けたときは、それが売上に繋がる導線を持っているかを必ず確認してください。
16. CPL(シーピーエル/リード獲得単価)
見込み客(リード)1件を獲得するのにかかった費用。
計算式:CPL = 広告費 ÷ 獲得リード数
資料請求、メルマガ登録、LINE友だち追加など「まだ購入していないが、連絡先を取得できた人」1件あたりの単価です。
BtoBや、検討期間が長い高額商材(住宅・リフォーム・車・保険など)では、CPAよりCPLで管理するほうが実態に合います。
17. CPO(シーピーオー/注文獲得単価)
実際の「受注・購入」1件あたりにかかった費用。
計算式:CPO = 広告費 ÷ 受注数
CPAとCPOは混同されがちですが、実務では区別が重要です。
| 指標 | 何を1件と数えるか |
|---|---|
| CPL | 資料請求・問い合わせなどの見込み客 |
| CPA | 設定した「成果」(定義は現場次第) |
| CPO | 実際の受注・購入 |
ここに注意
- 「CPAが下がりました」という報告が来たら、まず「何を1件と数えていますか?」と聞いてください。成果地点の定義を緩くすれば、CPAはいくらでも下がります。ここは代理店との認識ズレが最も起きやすいポイントです。
1-C. 顧客の基本(6語)
1回の取引だけを見ていると、判断を誤ります。顧客を「関係の総額」で見る視点です。
18. LTV(エルティーブイ/顧客生涯価値)
1人の顧客が、取引の終わりまでに自社にもたらす利益の総額。
簡易な計算式:LTV = 客単価 × 購入頻度 × 継続期間 × 粗利率
A社の例。リフォームは一度きりに見えますが、実際には水回り→外壁→外構と、10年かけて複数回発注されることが珍しくありません。
100万円 × 3回(10年間)× 粗利率30% = LTV 90万円
初回受注だけを見れば粗利30万円。しかしLTVで見れば90万円。この差が、投じられる広告費の上限を3倍変えます。
ここに注意:LTVを高く見積もりすぎるのは危険です。「将来これだけリピートするはず」という願望で広告費を膨らませ、実際には回収できないケースが多発します。実績データで裏を取れる範囲で計算してください。
19. CAC(キャック/顧客獲得コスト)
新規顧客を1人獲得するのにかかった、すべてのコスト。
計算式:CAC = (広告費 + 人件費 + ツール費など) ÷ 新規顧客数
CPAとの違いは、CACは広告費以外も含む点です。営業担当の人件費、商談の移動費、制作費なども入ります。実態としてのコストはCPAよりかなり大きくなるのが普通です。
LTVとCACの関係が、事業の健全性を測る最重要のペアになります(詳しくはレベル2で解説します)。ここでは「LTV > CAC でなければ、売れば売るほど赤字」という原則だけ覚えてください。
20. 客単価
顧客1人が1回の取引で支払う平均金額。
計算式:客単価 = 売上高 ÷ 客数
集客数を増やすのは大変ですが、客単価を10%上げるのは比較的容易です。しかも客単価の上昇分は、ほぼそのまま粗利になります(原価が比例して増えないため)。
Web施策を考えるとき、「アクセスを増やす」の前に「単価を上げる」を検討すると、費用対効果が跳ね上がることがよくあります。
21. 平均注文額(AOV:Average Order Value)
1回の注文あたりの平均金額。ECでよく使われる客単価。
計算式:AOV = 総売上 ÷ 総注文数
「あと3,000円で送料無料」「まとめ買い割引」といった施策は、すべてAOVを引き上げるためのものです。集客コストが変わらないまま単価が上がるため、利益への効き方が非常に良い領域です。
22. 購入頻度
一定期間内に、顧客が何回購入したかの平均。
計算式:購入頻度 = 期間内の購入回数 ÷ 顧客数
LTVを構成する3要素(単価 × 頻度 × 期間)のひとつです。
飲食店なら「月に何回来店するか」、リフォーム会社なら「10年で何回発注するか」。頻度を上げる施策(DM、LINE配信、定期点検の案内など)は、新規獲得より圧倒的に低コストで効きます。
23. リピート率
一度購入した顧客のうち、再び購入した人の割合。
計算式:リピート率(%)= リピート購入者数 ÷ 全購入者数 × 100
新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍かかると言われます(1:5の法則)。
ここに注意:広告予算の話になると、ほぼ全員が新規獲得の話しかしません。しかしリピート率が5%上がるだけで利益が大きく改善することは珍しくありません。「新規を増やす」の前に「なぜ二度目がないのか」を検証すべきケースが、地方の中小企業では特に多いと感じています。
1-D. 目標と指標(10語)
代理店のレポートに並ぶ数字たちです。ここまで読んだ方は、これらを「粗利に繋がるか」という目で見られるはずです。
24. KGI(ケージーアイ/重要目標達成指標)
最終的に達成したいゴールを、数字で表したもの。
「年商1.5億円」「営業利益2,000万円」「新規受注120件」など。経営目標そのものです。
Web施策の相談で最初に確認すべきは、ここです。KGIが決まっていない状態で「アクセスを増やしましょう」という提案が出てきたら、それは目的地を決めずに走り出しているのと同じです。
25. KPI(ケーピーアイ/重要業績評価指標)
KGIに到達するための、途中経過を測る中間指標。
A社の例:
- KGI:年間受注120件
- KPI:月間問い合わせ50件/問い合わせからの受注率20%/CPA 2万円
KGIは「結果」、KPIは「そこに至るプロセス」です。KPIの良いところは、月次で軌道修正できる点にあります。年度末に「未達でした」と分かっても手遅れですが、KPIなら3ヶ月目に異常を察知できます。
ここに注意
- KPIは増やしすぎると機能しません。3〜5個に絞ってください。20個並んだKPIシートは、誰も見ないダッシュボードになります。
26. CVR(シーブイアール/コンバージョン率)
サイトを訪れた人のうち、成果に至った人の割合。
計算式:CVR(%)= コンバージョン数 ÷ セッション数(または訪問者数)× 100
A社のサイトに月1,000セッションあり、問い合わせが20件なら、CVRは2%です。
業種にもよりますが、BtoCの問い合わせ型サイトで1〜3%、BtoBの資料請求で1〜2%程度が一般的なレンジです。
CVRの改善は、広告費を増やさずに成果を増やせるという点で、最も費用対効果の高い打ち手になり得ます。CVRが1%から2%になれば、同じ広告費で成果が2倍です。
27. CTR(シーティーアール/クリック率)
表示された広告やリンクが、クリックされた割合。
計算式:CTR(%)= クリック数 ÷ 表示回数 × 100
広告のクリック率、検索結果でのクリック率(SEOの文脈)などで使います。
CTRが低い=「見られているが、興味を持たれていない」。広告文やタイトルの問題です。一方、CTRは高いのにCVRが低い場合は、「期待させて着地させた先が期待外れ」——つまりランディングページの問題です。どこで止まっているかの切り分けに使う指標だと考えてください。
28. インプレッション(imp/表示回数)
広告やコンテンツが表示された回数。
同じ人に3回表示されれば、3インプレッションです。
ここに注意:レポートで最も見栄えのする数字であり、同時に最も成果と関係が薄い数字でもあります。「10万インプレッション獲得!」という報告を受けたら、そこから何件の問い合わせが生まれたかを必ず確認してください。
29. リーチ
広告やコンテンツが届いた「実人数」。
インプレッションとの違いは、重複を除く点です。同じ人に3回表示された場合、インプレッションは3ですが、リーチは1です。
| 用語 | 数えるもの |
|---|---|
| インプレッション | 表示された延べ回数 |
| リーチ | 届いた実人数 |
認知拡大が目的の施策では、リーチのほうが実態を表します。
30. セッション(訪問数)
ユーザーがサイトを訪れてから離れるまでの、一連の行動のまとまり。
同じ人が朝と夜に訪問すれば、2セッションです。「何回訪問されたか」を示します。
31. UU(ユーユー/ユニークユーザー)
サイトを訪れた「実人数」。
同じ人が10回訪問しても、1UUです。
3つの数字の関係を整理します。
| 用語 | 意味 | 同じ人が朝夜2回訪問し、各3ページ見た場合 |
|---|---|---|
| UU | 実人数 | 1 |
| セッション | 訪問回数 | 2 |
| PV | ページ閲覧数 | 6 |
レポートを読むときは、どの数字で語られているかを必ず確認してください。PVは実態の6倍に見えることがあります。
32. 直帰率・離脱率
直帰率=1ページだけ見て帰った割合。離脱率=そのページで見終えた割合。
なお、現在のGA4では直帰率の定義が変わり、「エンゲージメントのなかったセッションの割合」を指します。10秒以上の滞在、2ページ以上の閲覧、コンバージョンのいずれかがあれば「エンゲージメントあり」と判定されます。古いGA(ユニバーサルアナリティクス)の定義とは異なるので、過去データと比較する際は注意が必要です。
ここに注意
- 直帰率が高い=悪い、とは限りません。電話番号と地図だけを見に来たページなら、直帰率90%でも大成功です。指標の善し悪しは、ページの役割によって変わります。
33. リード
見込み客。まだ購入していないが、連絡先を取得できた相手。
資料請求者、問い合わせ者、LINE登録者、名刺交換した相手などです。
Webマーケティングの多くは、**「リードを集める」→「関係を育てる」→「受注する」**という流れで設計されます。リードを何件持っているかは、来期の売上の先行指標です。
1-E. 戦略のことば(10語)
数字の前に、そもそも「誰に、何を、どう売るか」を決める言葉です。
34. STP(エスティーピー)
市場を分けて(S)、狙いを定めて(T)、立ち位置を決める(P)という、戦略設計の基本手順。
- Segmentation(セグメンテーション):市場を分ける
- Targeting(ターゲティング):狙う相手を決める
- Positioning(ポジショニング):その相手の中でどう見られるかを決める
マーケティング戦略の出発点であり、この3つが曖昧なまま作られたサイトは、ほぼ確実に成果が出ません。「誰に向けたページか分からない」という状態になるためです。
35. セグメンテーション(市場細分化)
市場を、似た性質を持つグループに分けること。
地域、年齢、性別、家族構成、業種、企業規模、悩みの種類など、切り口はさまざまです。
A社なら「築20年以上の戸建てに住む50〜60代」「賃貸物件を持つオーナー」「新築を検討中の30代」といった分け方になります。それぞれ、響く言葉がまったく違います。
36. ターゲティング
分けた市場の中から、実際に狙うグループを決めること。
重要なのは、「狙わない」を決めることです。「幅広い層に対応できます」というメッセージは、結果として誰にも刺さりません。
地方の中小企業は、大手と同じ土俵で戦えません。だからこそ、大手が手を出さない狭い領域を選ぶことが最大の武器になります。
37. ポジショニング
顧客の頭の中で、自社がどんな存在として認識されるかを設計すること。
「安い会社」なのか、「地元で40年、いつでも駆けつけてくれる会社」なのか。
ここに注意
- ポジショニングは自社が主張するものではなく、顧客の頭の中に存在するものです。「うちは技術力が高い」と自称しても、顧客がそう認識していなければ、そのポジションは存在しません。
38. ペルソナ
ターゲットを、実在する一人の人物のように具体化した人物像。
年齢、職業、家族構成、悩み、情報収集の手段、意思決定のきっかけまで書き込みます。
ペルソナの本当の効果は、「制作物の判断基準になること」です。「このキャッチコピー、どうします?」と迷ったとき、「この人が読んで刺さるか?」で決められる。社内・外注先との合意形成コストが劇的に下がります。
ここに注意:作って満足し、二度と見返さないペルソナ資料が非常に多いです。使わないなら作る意味はありません。
39. 4P
売り手側から見た、マーケティングの4つの構成要素。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| Product(製品) | 何を売るか |
| Price(価格) | いくらで売るか |
| Place(流通) | どこで売るか |
| Promotion(販促) | どう伝えるか |
Webマーケティングの相談は、そのほとんどがPromotion(どう伝えるか)だけの話になりがちです。しかし売れない原因が、実は価格設定や商品そのものにあるケースは非常に多い。「広告で解決すべき問題か」を疑う枠組みとして使ってください。
40. 3C分析
顧客・競合・自社の3つの視点から事業環境を整理するフレームワーク。
- Customer(市場・顧客):顧客は何を求めているか
- Competitor(競合):競合は何を提供しているか
- Company(自社):自社は何ができるか
この3つが重なる領域が、勝てる場所です。特に見落とされるのがCompetitor。「競合サイトを5社分、実際に問い合わせてみる」だけで、驚くほど多くのことが分かります。
41. SWOT分析
自社の強み・弱み・機会・脅威を4象限で整理するフレームワーク。
| プラス要因 | マイナス要因 | |
|---|---|---|
| 内部環境 | Strength(強み) | Weakness(弱み) |
| 外部環境 | Opportunity(機会) | Threat(脅威) |
ここに注意
- SWOTは書いただけでは何も生みません。「強みを使って機会をつかむには?」というように掛け合わせて初めて戦略になります(クロスSWOT/レベル4で解説)。埋めて満足するのが最も多い失敗パターンです。
42. 市場シェア
市場全体の売上に対して、自社が占める割合。
計算式:市場シェア(%)= 自社の売上 ÷ 市場全体の売上 × 100
中小企業にとって重要なのは、**全国シェアではなく「狭く区切った市場でのシェア」**です。「三重県のリフォーム市場」ではなく「明和町・多気町の水回りリフォーム」まで絞れば、1位を取れる可能性が見えてきます。
1位になると、口コミ・紹介・指名検索が回り始め、広告費が下がります。狭くてもいいから1位を取る——これが地方企業の基本戦略です。
43. ブランド認知
どれだけの人が、自社の名前を知っているかの度合い。
「◯◯といえば?」と聞かれて社名が挙がるのが純粋想起、社名リストを見せて「知っている」と答えるのが助成想起です(詳しくはレベル2で解説)。
認知は、Web上では指名検索の数で測れます。「A社 リフォーム」で検索される回数が増えていれば、認知は確実に育っています。
ここに注意:認知施策は、すぐには成果が出ません。短期のCPAだけで評価すると、必ず「無駄」と判定されます。評価する時間軸を分けることが必要です(レベル3で解説)。
1-F. 最初に知る落とし穴(4語)
ここまで46語を学びました。最後に、それらの数字に騙されないための4語です。
44. バニティメトリクス(虚栄の指標)
見栄えは良いが、事業成果とほとんど関係のない指標。
代表例:PV数、インプレッション、フォロワー数、いいね数、SNSの表示回数。
これらは上げようと思えば比較的簡単に上げられ、しかも報告書で映えるという性質を持ちます。だからこそ、報告書に多用されます。
見分け方はシンプルです。「その数字が2倍になったら、売上はいくら増えますか?」と質問してください。答えられない指標は、バニティメトリクスです。
45. PV至上主義
ページビュー(閲覧数)の増加を、目的そのものにしてしまう状態。
「アクセスが3倍になりました」——嬉しい報告ですが、問い合わせが増えていなければ、事業的な意味はほぼありません。
実際によくあるのが、関係のない検索キーワードで大量に流入し、PVだけが伸びているケースです。リフォーム会社のサイトに「壁紙の張り方DIY」の記事でアクセスが集まっても、その人は工事を発注しません。
46. 制作費と運用費の混同
サイトを作る費用と、成果を出し続ける費用を、同じものとして扱ってしまうこと。
Webサイトは、作った瞬間が完成ではなくスタートです。しかし多くの企業が制作費に予算を全部使い切り、運用費をゼロにしてしまいます。
目安として、初年度は「制作費と同額以上を運用(広告・改善・コンテンツ)に充てる」ことをおすすめしています。200万円のサイトを作って広告費ゼロなら、それは看板を裏山に立てたのと同じです。
47. フォロワー数の実質価値
SNSのフォロワー数が、そのまま購買力を意味するわけではないということ。
1万フォロワーいても、地元の顧客が100人しかいなければ、地域ビジネスとしての価値は限定的です。逆にフォロワー300人でも、全員が商圏内の見込み客なら極めて強い資産です。
ASAKURAの一言
- フォロワー数は購入できます。しかし購入したフォロワーは、絶対に商品を買いません。数ではなく「誰がフォローしているか」を見てください。
レベル1 到達チェックリスト
以下にすべて答えられれば、レベル1(=読める)は達成です。
- 自社の粗利率を即答できる
- 自社の平均客単価を即答できる
- 1件の受注に、いくらまで広告費をかけてよいかを計算できる
- ROASとROIの違いを説明できる
- CPA・CPL・CPOの違いを説明できる
- UU・セッション・PVの違いを説明できる
- 自社のKGIとKPIが言える
- レポートの数字を見て「これはバニティメトリクスでは?」と疑える
3つ以上「答えられない」があった場合、その状態でWeb施策を評価するのは危険です。まずは自社の数字を確認するところから始めてください。
まとめ:レベル1のいちばん大事な話
47語を通して、繰り返しお伝えしたことがひとつあります。
Webの指標(CTR・CVR・PV)は、単体では何の意味も持ちません。粗利と結びついて初めて、判断材料になります。
「ROAS 300%」は、粗利率30%の会社にとっては赤字でした。「CPA 2万円」は、粗利30万円の会社にとっては優秀でした。同じ数字が、会社によって正反対の意味を持ちます。
だからこの記事は、粗利率から始めたのです。
次のレベル2「判断できる」では、限界利益、LTV/CAC比、KPIツリー、そして「CVRの母数トリック」といった、実際に施策の良し悪しを評価するための62語を解説します。
Web施策の評価に、第三者の目が必要なとき
数字の読み方が分かっても、「自社の場合はどう判断すべきか」は、外からの視点があったほうが早いことがあります。
株式会社ASAKURAでは、三重県の中小企業を中心に、Webマーケティングとデジタル活用の伴走支援を行っています。
- 無料サイト診断:現在のサイトの課題を、数字ベースでお出しします
- 初回60分の無料相談:Zoomで、現状の施策が投資として妥当かをご一緒に検証します
- 三重県内限定「スタバで作戦会議」:かしこまった商談が苦手な方へ
「今の代理店の提案が妥当か、意見だけ聞きたい」というご相談も歓迎です。
この記事は「経営者のためのマーケティング用語辞典」シリーズのレベル1です。レベル2以降も順次公開予定です。