ホームページ制作の費用相場|工程別・ページ別の単価と、地方と都会で料金が変わる理由
「同じような会社案内サイトなのに、A社は50万円、B社は120万円、C社は280万円。いったい、どれが正しい値段なんですか?」
ホームページ制作を検討する経営者から、最も多くいただく質問です。
結論からお伝えします。3社とも、正しい値段です。
値段が5倍以上違うのは、どこかが不当にぼったくっているからではありません。「ホームページ制作」という同じ言葉の中身が、3社でまったく違うからです。要件定義をどこまでやるか、デザインをどこまで作り込むか、何ページ作るか、公開後に何をするか——それらが違えば、値段が5倍違うのは当然です。
つまり、相場を知るとは「1枚いくらか」を覚えることではありません。「その値段の中に、何が含まれているか」を読めるようになることです。
この記事では、要件定義・ディレクション・デザイン・実装という工程ごとに、そしてトップページ・各ページごとに、単価がどう決まるかを、こだわったものから簡易的なものまで分けて解説します。あわせて、多くの方が気にされる「地方と都会で料金は違うのか」にも、はっきりお答えします。
この記事の位置づけ
株式会社ASAKURAは、三重県でホームページ制作とWebマーケティングを手がけています。この記事は、当社に発注していただくためのものではありません。どこに発注するにせよ、経営者が「その見積もりは妥当か」を自分で判断できるようになるために書いています。
見積書を前にして、言い値で判断するしかない状態は、健全ではありません。この記事を読み終えると、届いた見積もりの数字の意味が読め、「なぜこの値段なのか」を発注先に質問できるようになります。
なお、当社のWebマーケティング用語辞典(レベル1〜5)をお読みの方へ。この記事も同じ考え方で書いています。売り手が言いたいことではなく、買い手が判断するために必要なことを、包み隠さずお伝えします。
事例:リフォーム会社A社
用語辞典シリーズと同じ会社を例にします。イメージを揃えるためです。
A社(三重県でリフォーム工事を手がける会社) ・年商:1億2,000万円 ・従業員:十数名 ・今回やること:古くなった会社サイトを作り直す(10ページ程度) ・目的:問い合わせを増やしたい。だが予算は無限ではない
A社が「10ページのサイトを作り直したい」と3社に相談したところ、冒頭の通り50万・120万・280万という見積もりが返ってきました。この差がどこから生まれるのかを、これから分解します。
費用の正体:ホームページの値段は「工数 × 単価」で決まる
最初に、最も大事な原則をお伝えします。
ホームページ制作費の大部分は、人件費です。材料費でも設備費でもありません。人が、何時間、どういうスキルで作業したか——これがほぼすべてです。
つまり値段は、突き詰めると次の式になります。
制作費 = 作業時間(工数)× 時間あたりの単価
「デザインをこだわる」とは、デザイナーが作業する時間が増えるということです。「戦略から考える」とは、上流工程に時間をかけるということです。ページ数が増えれば、その分だけ時間が増えます。
ここで覚えておいてください
-
値段が高い・安いを、金額の大きさだけで判断してはいけません。「その金額で、どれだけの工数(人の手間)を買っているか」で見ます。50万円が高いか安いかは、その50万円で何時間分の、誰の作業を買っているかで決まります。
この「工数 × 単価」の視点があると、以降のすべての相場が、理由とともに読めるようになります
工程別の単価
ホームページ制作は、大きく4つの工程に分かれます。見積書は、たいていこの順に並んでいます。それぞれ、簡易的なものからこだわったものまで、相場の幅を見ていきます。
1. 要件定義・企画
どんなサイトを、誰のために、何のために作るかを、着手前に文書で固める工程。
| こだわり度 | 相場の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 簡易 | 0〜5万円(制作費に込み) | ヒアリング1回程度。目的を軽く確認する |
| 標準 | 10〜30万円 | ターゲット整理、サイト設計図、ページ構成の設計 |
| こだわり | 30〜100万円 | 市場・競合調査、戦略設計、成果目標(KGI/KPI)まで踏み込む |
最も見落とされ、最も差が出る工程です。安い見積もりは、ここがゼロか、ほぼ省略されています。要件定義を飛ばして作ったサイトは、「きれいだけど問い合わせが来ない」という結果になりがちです。誰に何を伝えるサイトなのかが、決まっていないからです。
この工程は、ディレクション費に含めて計上されることも多くあります。見積書に「要件定義」の項目がない場合、省略されているのか、ディレクション費に含まれているのかを確認してください。
2. ディレクション
プロジェクト全体の進行管理・品質管理・調整を担う、いわば現場監督の工程。
ディレクション費は、単独の作業ではなく、制作費全体に対する割合で計上されるのが一般的です。
| こだわり度 | 相場の目安 |
|---|---|
| 相場 | 制作費全体の10〜30% |
たとえば制作費が100万円なら、ディレクション費は10〜30万円ということになります。企画・提案力を強みとする会社ほど、この割合が高くなる傾向があります。
ディレクション費が極端に安い(5%以下、または無料)場合は、理由を確認してください。進行管理が手薄でトラブルが起きやすい、原稿や写真の準備がすべて自社負担になっている、といった裏側があることが少なくありません。「ディレクション費ゼロ」は、安いのではなく、その手間が発注者側に移っているだけのことがあります。
3. デザイン
サイトの見た目(レイアウト・配色・世界観)を設計する工程。ページ単位で単価が決まる。
デザインは、トップページと下層ページ(会社概要やサービス紹介などの内側のページ)で単価が分かれます。トップページは顔になるため、最も高くなります。
| ページ | 簡易 | 標準 | こだわり |
|---|---|---|---|
| トップページ | 5〜10万円 | 10〜20万円 | 20〜50万円 |
| 下層ページ(1枚あたり) | 1〜2万円 | 3〜8万円 | 10〜20万円 |
簡易とこだわりの差は、テンプレート(既製のひな形)を使うか、ゼロから独自に設計するかです。テンプレートは安く速い代わりに、他社と似た見た目になります。フルオーダーは高く時間がかかる代わりに、独自の世界観を作れます。
4. 実装(コーディング・システム構築)
デザインを、実際に動くWebページに組み立てる工程。CMS(更新システム)の構築も含む。
| 項目 | 簡易 | 標準 | こだわり |
|---|---|---|---|
| トップページの実装 | 3〜8万円 | 8〜15万円 | 15〜30万円 |
| 下層ページの実装(1枚あたり) | 1〜3万円 | 3〜5万円 | 5〜10万円 |
| WordPress等のCMS構築 | 10〜20万円 | 20〜40万円 | 40〜80万円 |
デザイン費と実装費は、ページごとに合算して「1ページいくら」と提示されることも多くあります。見積書の書き方は会社ごとに違うため、デザインと実装が別なのか一緒なのかを確認すると、比較しやすくなります。
CMS(自社で更新できる仕組み)を入れるかどうかは、公開後のコストを大きく左右します。CMSがなければ、文字の修正一つでも制作会社に費用を払うことになります。初期費用が多少上がっても、自社で更新できる仕組みにしておくほうが、長い目で見て安くなることが多いです。
ページ別の単価
工程を横断して、「このページを1枚作るといくらか」という見方も重要です。ページの種類によって、必要な工数が違うからです。以下は、デザインと実装を合算したページ単価の目安です。
| ページの種類 | 簡易 | 標準 | こだわり | 高くなる理由 |
|---|---|---|---|---|
| トップページ | 8〜15万円 | 20〜35万円 | 35〜80万円 | サイトの顔。情報量と印象設計が最も重い |
| 会社概要・サービス紹介 | 2〜4万円 | 5〜12万円 | 15〜25万円 | 内容次第。図やアニメーションで上がる |
| お問い合わせ(フォーム付き) | 3〜8万円 | 8〜15万円 | 15〜30万円 | フォームの実装・自動返信・スパム対策 |
| 実績・事例(一覧+詳細テンプレ) | 5〜10万円 | 10〜20万円 | 20〜40万円 | 一覧の仕組みと詳細ページのひな形が必要 |
| ブログ・お知らせ機能 | 5〜15万円 | 15〜30万円 | 30〜50万円 | 投稿・カテゴリ・一覧表示の仕組み構築 |
| 採用ページ | 5〜10万円 | 10〜25万円 | 25〜50万円 | 求職者向けの訴求設計・写真点数が多い |
「フォームがあるだけ」のお問い合わせページと、「トップページ」を同じ1ページとして数えてはいけません。フォームには実装の手間があり、トップページには設計の手間があります。ページ数だけで総額を割り算して「1ページ単価」を出すと、実態を見誤ります。
総額シミュレーション:A社が3パターンで作った場合
ここまでの単価を積み上げて、A社(10ページ規模)が「簡易」「標準」「こだわり」で作った場合の総額を出します。冒頭の50万・120万・280万の正体が、ここで明らかになります。
パターン1:簡易(テンプレート活用)
| 工程 | 費用 |
|---|---|
| 要件定義 | 制作費に込み |
| ディレクション | 5万円 |
| デザイン・実装(テンプレ活用・10ページ) | 30万円 |
| CMS(簡易) | 10万円 |
| 合計 | 約45〜50万円 |
テンプレートを使い、ヒアリングも最小限。とにかく早く安く「名刺代わりのサイト」を持ちたい場合です。集客の仕掛けは、ほぼありません。
パターン2:標準(オリジナルデザイン・WordPress)
| 工程 | 費用 |
|---|---|
| 要件定義・設計 | 15万円 |
| ディレクション | 15万円 |
| デザイン(トップ+下層9枚) | 40万円 |
| 実装 | 25万円 |
| WordPress構築 | 25万円 |
| 合計 | 約110〜120万円 |
オリジナルデザインで、自社で更新でき、問い合わせ導線も設計されている。中小企業の「きちんとしたサイト」の中心的な価格帯です。
パターン3:こだわり(戦略設計・フルオーダー)
| 工程 | 費用 |
|---|---|
| 要件定義・市場調査・戦略設計 | 50万円 |
| ディレクション | 40万円 |
| デザイン(フルオーダー) | 90万円 |
| 実装 | 50万円 |
| CMS・機能構築 | 50万円 |
| 合計 | 約250〜280万円 |
競合調査から成果目標まで踏み込み、独自の世界観を作り、公開後に成果が出る設計まで含む。ブランディングと集客を本気で狙う場合です。
参考までに、複数の制作実績データでは、中小企業のコーポレートサイトは平均90〜95万円前後、中央値50万円前後とされています。発注額の半数は50万円以下に収まる一方、要件が増えると100〜300万円の帯にスライドします。A社の3パターンは、この相場の中にきれいに収まっています。
どれが正解ということはありません。「名刺代わりでいい」なら簡易で十分ですし、「サイトで集客の柱を作りたい」なら簡易では目的を達しません。目的に対して過不足のない工数を選ぶ——それが、正しい発注です。高いサイトが良いサイトなのではなく、目的に合ったサイトが良いサイトです。
「安い見積もり」の裏側で、何が削られているか
同じページ数で極端に安い見積もりが出てきたとき、疑うべきは「良心的な会社なのかもしれない」ではなく、「何が省略されているのか」です。安さには、必ず理由があります。よくある削られ方は、次の通りです。
- 一つ目は、要件定義の省略です。誰に何を伝えるかを考えず、テンプレートに文字を流し込むだけ。きれいなサイトはできますが、成果は出ません。
- 二つ目は、原稿・写真が発注者の全負担になっているケースです。制作費は安く見えても、文章をすべて自分で書き、写真も自分で用意することになります。この負担は、しばしばプロジェクトを何ヶ月も止めます。
- 三つ目は、修正回数の制限です。「デザイン修正は2回まで、3回目から追加料金」といった条件が、小さな字で書かれていることがあります。
- 四つ目は、CMSなしの納品です。公開後、文字一つ直すのにも費用がかかる。安く作って、更新のたびに課金される構造です。
- 五つ目は、公開後の放置です。作って納品して終わり。用語辞典で繰り返しお伝えした通り、サイトは公開してからがスタートですが、その支援がまったくない。
地方と都会で、料金は違うのか
はっきりお答えします。違います。ただし、その差の意味を正しく理解してください。
なぜ差が出るのか
第1章でお伝えした通り、制作費の大部分は人件費です。そして人件費やオフィスの賃料は、都市部のほうが高くなります。東京の制作会社は、高い家賃と高い人件費を、料金に反映せざるを得ません。この構造が、地域による料金差の正体です。
実際の差
各種の相場データを総合すると、傾向はこうです。
| 傾向 | |
|---|---|
| 最低ライン(簡易なサイト) | 地方のほうが明確に安い。地方30万円〜に対し、東京は60万円〜という目安もある |
| 上限(こだわり・大規模サイト) | 地域差は小さくなる。高度な案件は、どこで作っても相応にかかる |
| 都市間の比較 | 大阪は東京より20〜90万円ほど安い、福岡は東京の半額に近い、といったデータもある |
まとめると、都会は最低ラインが高く、地方は最低ラインが安い。一方、こだわり抜いた大規模案件になると、地域による差は縮まります。
ただし、ここが重要です
「地方だから安い、都会だから高い」で判断してはいけません。理由が2つあります。
- 一つ目。地方=安かろう悪かろう、ではありません。制作の多くはオンラインで完結するため、地方の会社でも都市部と同等以上の品質を出せます。むしろ地方の会社は、オフィス賃料などの固定費が低いぶん、同じ品質を安く提供できることがあります。地方であることは、品質の低さを意味しません。
- 二つ目。地方の会社でも高くつくことがあります。地方の制作会社が、実作業を都市部の会社や外部に丸投げしている場合、その中間マージンが上乗せされます。逆に、都市部にも格安のテンプレート制作会社はあります。つまり、料金を左右するのは「地域」そのものより、「その会社が、何を、どこまで、自社でやってくれるか」です。
- 地域は、判断材料の一つにすぎません。見るべきは、第5章でお伝えした「中身」です。地方の会社に相談するにしても、都会の会社に相談するにしても、質問すべきことは同じです。
見積もりを受け取ったら確認するチェックリスト
以下を確認できれば、どの地域の、どの会社の見積もりでも、横並びで判断できます。
- 要件定義・企画の工程が、見積もりに含まれているか
- ディレクション費が、制作費の10〜30%の範囲にあるか(極端に安くないか)
- デザインが、テンプレートかフルオーダーか
- 原稿・写真は、どちらが用意するか
- 修正は何回まで無料か
- CMS(自社で更新できる仕組み)は含まれているか
- 公開後の運用・保守は、どうなっているか
- 実作業を、その会社自身が行うのか、外部に再委託するのか
- 見積もりの前提(ページ数・機能)が、他社と揃っているか
まとめ:値段ではなく、中身で判断する
この記事でお伝えしたかったことは、ひとつです。
ホームページに「相場の1枚いくら」という決まった値段はありません。あるのは、「工数 × 単価」という構造だけです。50万円のサイトも、280万円のサイトも、それぞれの工数に対して正しい値段です。違うのは、その中に含まれている手間の量と質です。
だから、見積もりを金額の大きさで判断してはいけません。「その金額で、どの工程を、どこまで買っているか」で判断してください。安いサイトが得なのでも、高いサイトが良いのでもありません。自社の目的に対して、過不足のない工数を選べたときが、正しい発注です。
地方と都会の料金差も、同じ原理です。差はありますが、それは人件費の構造から来るもので、品質の差ではありません。地域で選ぶのではなく、中身で選んでください。
そして冒頭の問いに戻ります。A社に届いた50万・120万・280万の見積もり。どれが正しいのか——答えは、「A社が、このサイトで何を達成したいか」次第です。名刺代わりでいいなら50万で十分。集客の柱にしたいなら、50万では目的を果たせません。値段は、目的から逆算するものです。
見積もりの中身を、一緒に読み解きませんか
届いた見積もりが妥当かどうか、判断に迷うことがあります。特に、複数社の見積もりの中身が揃っていないと、比較そのものが成り立ちません。
株式会社ASAKURAでは、三重県の中小企業を中心に、ホームページ制作とWebマーケティングの支援を行っています。当社にご発注いただくかどうかは別として、次のようなご相談を歓迎しています。
・無料の見積もりセカンドオピニオン:他社の見積もりが妥当か、中身を一緒に確認します ・初回60分の無料相談:Zoomで、目的に対して必要な工程・予算を整理します ・三重県内限定「スタバで作戦会議」:かしこまった商談が苦手な方へ
「発注する前に、この見積もりの見方だけ教えてほしい」というご相談で構いません。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。
正直、こういう「相場の中身をぜんぶ見せる記事」って、制作会社としては書きにくいんです。手の内を明かすことになるので。でも、見積もりを前にして「言われた値段が高いのか安いのか分からない」まま契約してしまう方を、これまで何人も見てきました。それがずっと、もやもやしていて。
ホームページは、けっこうな買い物です。だからこそ、中身を知ったうえで決めてほしい。うちに頼むかどうかは、そのあとの話でいいと思っています。まずは、フェアに比べられる状態を作りたくて書きました。
