画面に出ない部分に、いちばん時間がかかった|不動産ポータルサイト
三重県全域の賃貸・売買物件を掲載する、不動産ポータルサイト。 大家様や管理会社様が、ご自身で物件を登録できる仕組みです。
ヒアリング、要件定義、デザイン、実装まで担当させていただきました。
いちばん時間を使ったのは、画面には何も現れない部分でした。
| 内容 | 詳細 |
|---|---|
| クライアント | Belive株式会社 様 |
| 業種 | 不動産 |
| 形式 | 不動産ポータルサイト(物件登録機能つき) |
| 対象エリア | 三重県全域 |
| ご支援内容 | ヒアリング・要件定義・データベース設計・Webデザイン・実装 |
| サイト | https://miesma-realestate.com/ |
ポータルサイトは、公開した日がいちばん寂しい


普通のホームページは、公開した時点で完成しています。会社紹介も、サービス説明も、こちらで用意して載せるからです。
ポータルサイトは違います。
中身を入れるのは、私たちでもお客様でもありません。物件を持っている大家様と、管理会社様です。
つまりこのサイトは、公開した日がいちばん中身の少ない状態から始まります。そして、登録が積み重なるほど価値が上がっていく。時間が経つほど強くなる種類のサイトです。
だとすれば、設計で最優先すべきものが決まります。
登録する人にとって、使いやすいこと。
どれだけ検索機能が優れていても、物件が入っていなければ何も検索できません。入力する側が面倒だと感じた瞬間に、このサイトは止まります。
そこで、大家様・管理会社様がご自身で物件を登録・編集できる管理画面を用意しました。
依頼して待つのではなく、ご自分のタイミングで出せる。 ポータルサイトの生命線は、ここだと考えています。
見積もりが、外れました
正直に書きます。この案件、当初の想定より工数がかかりました。
見誤ったのは、検索条件の部分です。
「エリアで探せて、路線と駅で探せて、小学校区でも探せるようにする」——機能の説明としては、3行で終わります。 私たちも最初は、そこまで重い作業にはならないと見積もっていました。
実際に必要だったのは、三重県全部のデータを揃えることでした。
- 県内を走るすべての鉄道路線
- その路線上のすべての駅
- 市町ごとのすべての小学校区
三重県は南北に長く、鉄道もJR・近鉄に加えて地域の私鉄が何本も走っています。小学校区にいたっては、市町ごとに区切りが違います。これらを漏れなく、正しく、検索できる形で構造化する。
画面には、何も現れません。 デザインが進んでいるようにも見えません。それでも、ここを雑にやると必ず後で効いてきます。物件が増えたときに、探せないサイトになるからです。
機能の一覧に書けることと、実際にかかる手間は、比例しません。 この案件で、あらためてそう思いました。
見積もりが甘かった案件です。
検索の条件を増やすだけだと思っていたのですが、三重県の路線と駅と小学校区を全部そろえる段になって、これは想像以上だと気づきました。
画面には何も出てこない作業です。デザインが進んでいるようにも見えない。それでも、ここを雑にやると後から効いてきます。物件が増えたとき、探せないサイトになるからです。
ポータルサイトは、公開した日がいちばん寂しい状態です。これから物件が集まって、賑やかになっていくのを楽しみにしています。
なぜ、小学校区で探せるようにしたのか
この機能が、今回いちばんこだわった部分です。
大手の不動産ポータルは、エリアと路線・駅での検索が中心です。それで十分な人も多くいます。
ただ、家を探す理由が「子ども」である家庭は、まったく違う探し方をします。
- 子どもを転校させたくない
- 今の学校に通わせ続けたい
- 引っ越し先の学校を先に決めている
この人たちにとって、条件は「駅から徒歩10分」ではありません。「◯◯小学校の学区内」です。
そして、この探し方は市区町村単位の検索では代用できません。同じ市の中に、学区はいくつもあるからです。 「松阪市」で絞っても、学区が違えば意味がありません。
だから、学区そのものを検索の軸に入れました。
02でお伝えしたデータベースの手間は、ほとんどがここに費やされています。それでも入れる価値があると判断したのは、この機能が「地域に根ざしたポータル」でなければ持てないものだからです。全国区のサイトが、三重県の学区を細かく持つことはありません。
大手と同じ土俵で戦わないための機能でもありました。
「AかつB」で絞れること


検索の仕組みでは、複数条件の掛け合わせに対応しました。
不動産探しは、条件がひとつということがありません。
近鉄名古屋線沿線で、かつ、家賃6万円以下で、かつ、◯◯小学校の学区内
こういう探し方をします。ひとつずつしか指定できない検索では、結局その先を目で追うことになり、探すのをやめてしまいます。
条件を重ねられることは、便利さの話に見えて、実際には離脱を防ぐ話です。
これから、育っていくサイトです
現時点で、このサイトの掲載物件はまだ多くありません。それは織り込み済みです。
ポータルサイトの検索エンジンでの評価は、掲載数と更新頻度に比例します。 物件ページが増えれば、それだけ「◯◯市 賃貸」「◯◯駅 アパート」といった検索の入口が増えます。1件の登録が、そのまま1つの入口になります。
だから、この事例で「検索1位を獲得しました」とは書けません。まだ、その段階ではないからです。
いま整っているのは、物件が増えたときに効く土台です。学区も、路線も、駅も、複数条件も、最初から入っています。後から足すほうが、はるかに大変になる部分を先に済ませてあります。
登録が進むにつれて、このサイトは強くなっていきます。その設計にしてあります。
まとめ
機能の一覧に書ける長さと、実際にかかる手間は比例しません。
「小学校区で検索できます」は一行ですが、その裏には県内すべての学区データがあります。そして、その一行があるかどうかで、子育て世帯にとってのこのサイトの価値は決定的に変わります。
ポータルサイトは、公開したときがいちばん寂しい状態です。これから物件が集まって、賑やかになっていくのを楽しみにしています。
ポータルサイトやデータベース型のサイトをお考えの方は、お気軽にご相談ください。
見た目より先に、データの持ち方からご相談できます。