提案していることを、自分たちで確かめる。ケンチェ飯
三重県のグルメメディア「ケンチェ飯」。 掲載店舗は1000を超え、月間10万PV、SNSの総フォロワーは4万人に達しました。
このサイトの運営母体は、株式会社ASAKURAです。
お客様からご依頼をいただいた仕事ではなく、自分たちで企画し、作り、運営しているメディアです。
| 内容 | 詳細 |
|---|---|
| 運営 | 株式会社ASAKURA(自社メディア) |
| 媒体 | 三重県グルメメディア「ケンチェ飯」 |
| 担当範囲 | コンセプト設計・要件定義・デザイン・実装・運用・SNS運用 |
| 改良回数 | 3回のリニューアル(直近は2026年5月) |
| 規模 | 掲載1000店舗超/月間10万PV/SNS総フォロワー4万人超 |
| サイト | https://kencellara.com/ |
なぜ、自社でメディアを持つのか


Web制作会社が語る「集客できるサイト」の話には、ひとつ弱点があります。
それを自分で証明していないことです。
お客様のサイトで成果が出たとしても、そこには商品力も、立地も、接客も、値段も関わっています。サイトの設計がどこまで効いたのかを、切り分けて語るのは簡単ではありません。
だから私たちは、自分たちのメディアを持っています。
企画も、設計も、デザインも、記事も、SNSも、全部こちらでやる。
- どんな構成なら回遊するのか
- どんな記事が検索から入ってくるのか
- SNSからサイトへ、人はどう動くのか
- 新しい機能を入れると、数字はどう変わるのか
お客様のサイトで試す前に、自分たちのサイトで確かめる。 ケンチェ飯は、発信の場であると同時に、実験場です。
「探し方」は、人によって違う
グルメサイトの設計でいちばん考えたのが、入口の作り方でした。
飲食店を探すとき、人が何から考え始めるかは、実はバラバラです。
- 場所から — 「松阪でどこか」
- 食べたいものから — 「ラーメンが食べたい」
- 予定から — 「VISONに行くから、その近くで」
- 条件から — 「予算3,000円まで、個室で、ランチ」
ひとつの並べ方に統一すると、必ず誰かが探せなくなります。
そこでケンチェ飯には、4つの入口を用意しました。 地域で探す/ジャンルで探す/おでかけ先で探す/こだわりで探す。
なかでも「おでかけ先で探す」は、あまり見かけない切り口だと思います。
VISON、なばなの里、伊勢神宮外宮、鈴鹿サーキット、横山展望台。観光地の名前から、その周辺の店にたどり着ける導線です。
これを入れた理由は単純で、旅行者は「食べたいもの」から探さないからです。行き先が先に決まっていて、食事はその予定に合わせて決まる。なら、行き先を入口にするのが自然です。
「こだわりで探す」も同じ考え方です。予算の上下限、モーニング・ランチ・ディナー、そして数十種類のジャンル。条件を選ぶたびに該当件数が変わるようにしてあります。
検索して0件だった、という体験がいちばん離脱を招きます。 選ぶ前に件数が見えていれば、それが起きません。
5つ目の入口として、AIを入れた

2026年、ChatGPTを用いたAI相談機能「AIブタチェ」を実装しました(現在β版)。
きっかけは、4つの入口でも拾えない探し方があると気づいたことです。
「子ども連れで、静かで、駐車場があって、伊勢のあたりで」——こういう相談は、条件のチェックボックスでは表現しきれません。 人は本来、条件の組み合わせではなく、言葉で相談します。
ならば、話しかけて探せる入口があっていい。それがAIブタチェです。
導入にあたって決めたことがあります。AIに一般論を答えさせないこと。
ケンチェ飯には、実際に足を運んで書いた1000店舗超の記事があります。AIが答えるのは、その中身に基づいた話であるべきです。 世の中の一般的なグルメ知識を返すだけなら、このサイトにある必要がありません。
新しい技術を入れること自体が目的ではなく、蓄えてきたものを引き出しやすくするために入れる。 ここは間違えないようにしました。
3回作り直して、変えなかったもの
ケンチェ飯は、これまでに3度作り直しています。直近のリニューアルは2026年5月です。
記事が増え、検索の仕方が変わり、スマートフォンの見え方も変わる。サイトは、放っておくと必ず古くなります。
ただし、毎回変えなかったものがあります。ポップな雰囲気です。
丸みのある文字、やわらかいクリーム色の背景、ブタのキャラクター、遊べるミニゲーム。洗練させようと思えば、いくらでもできます。
それでも変えていません。このメディアが目指しているのは、権威になることではなく、身近であることだからです。
「どこよりも詳しく」がコンセプトですが、詳しさと堅苦しさは別物です。情報は詳しく、佇まいは親しみやすく。 この組み合わせを崩さないことが、3度のリニューアルを通じての制約でした。
何を新しくするかより、何を守るかを決めるほうが難しい。 リニューアルのたびに、そう感じています。
数字が出るまでに、時間がかかりました

現在の数字です。
- 掲載店舗数 1000店舗超
- 月間PV 10万以上
- Instagram 月間80万インプレッション超
- SNS総フォロワー 4万人超
数字だけ見ると順調に映るかもしれませんが、ここまでには年数がかかっています。
グルメメディアに近道はありません。店に行って、食べて、写真を撮って、書く。 これを1本ずつ積み上げるほかにやりようがなく、記事が数十本の段階では、検索からの流入はほとんどありませんでした。
伊勢市とその周辺では、地域の方に名前を知っていただけるところまで来ました。
ただ、それは1本目の記事から数えて、長い時間の先にあったことです。
この体感があることは、お客様にご提案をするうえで意味があると思っています。 コンテンツを増やしましょうとお伝えするとき、それがどれくらい大変で、どれくらい時間がかかるのかを、自分たちで知っているからです。
まとめ
Web制作会社が「集客できるサイトを作ります」と言うのは簡単です。
その言葉に重みを持たせる方法は、ひとつしかないと思っています。自分たちで作って、自分たちで運営して、数字を出すことです。
ケンチェ飯は、その場所です。ここで試して、うまくいったことをお客様にご提案しています。逆に、ここでうまくいかなかったことは、おすすめしません。
これからも、ポップな雰囲気は変えずに、改良と施策を続けていきます。
自社メディアの立ち上げや、コンテンツを軸にした集客をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
続けることの大変さも含めて、正直にお話しします。
Web制作会社が「集客できるサイトを作ります」と言うのは、正直、簡単です。
でも、その言葉に責任を持つには、自分でやってみるしかないと思っていました。だからケンチェ飯は、誰にも頼まれていないのに続けています。
記事が10本、20本の頃は、本当に誰も見てくれませんでした。あの時期を知っているので、お客様に「コンテンツを増やしましょう」とお伝えするときは、少し慎重になります。大変ですよ、と先に言うようにしています。