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飲食業 三重県

【サイト制作】百年続く店に、今年できたような顔をさせない

【サイト制作】百年続く店に、今年できたような顔をさせない

三重県伊勢市、一之木。

かつて伊勢の中心地として賑わった「山田」で、1914年から店を続けてこられた洋食店です。

百余年の歴史を持つお店のホームページを、どうつくるか。要件定義からご一緒しました。

項目内容
クライアント西洋料理 開福亭 様(三重県伊勢市)
業種飲食業/洋食店(1914年創業)
ご支援内容要件定義・情報設計・Webデザイン・実装/CMS構築(簡易管理画面)/公開後の操作レクチャー
サイトhttps://kaifukutei.com/

01. 老舗のサイトづくりには、洗練させたくなる誘惑がある

歴史のあるお店のホームページをつくるとき、制作側には誘惑があります。

今風に、洗練させたくなる。大きな写真を全画面に敷き、余白を広く取り、細い書体で静かに見せる。そうすると、確かに見栄えのする一枚ができあがります。

ただ、それを見て来店された方が、実際の店の引き戸を開けたときにどう感じるか。

開福亭様は、百年以上同じ場所で暖簾を守ってこられたお店です。店主が、調理も接客もお一人で担っておられます。洗練されたサイトと、目の前の店の空気が違っていたら、それは期待を裏切ったことになります。

そこでデザインの方針を、昔ながらのホームページに置きました。

流行の型を当てはめるのではなく、縦に素直に読める構成にする。写真と説明文を、迷わせない順番で並べる。凝った動きで驚かせない。開いてすぐ、何の店で、何が名物で、どこにあるのかがわかる。

見た目を古く装うということではありません。百年続いてきた店が、自分の言葉で書いたらこうなる、という佇まいに寄せるということです。

02. 予算を抑えたいというご要望が、方針と同じ方向を向いていた

ご相談の段階で、店主から、可能な限り予算を抑えたいというお話をいただいていました。

ご要望としてはよくあるものです。ただ今回は、この制約が方針とぶつかりませんでした。むしろ、同じ方向を向いていました。

凝った動きや複雑な演出を使わない、というのがデザインの方針です。演出を減らせば、実装は軽くなります。つまり、見た目の方針をそのまま実装に落とし込むと、自然に費用が下がる構造でした。

そこで実装は、極力シンプルな組み方に統一しています。

必要のない機能を足さない。動きは最小限に留める。ページ数を絞り、テンプレートを増やしすぎない。すでにあるもので足りるところは、つくらずに使う。

営業日のご案内にGoogleカレンダーをそのまま埋め込んだのも、この判断のひとつです。専用の営業カレンダーを開発すれば、その分の制作費がかかり、公開後は不具合が起きるたびに保守の費用が発生します。埋め込みで用が足りるのであれば、つくらないほうが安く、壊れにくく、店主にとっては普段お使いの道具のまま更新できます。

予算を抑えるというのは、品質を落とすという話ではないと考えています。持ち物を減らすと、費用も、公開後に壊れる箇所も、覚えることも、同時に減ります。お一人で店を切り盛りされている方にとっては、そのほうが長く続きます。

03. 要件定義でいちばん時間を使ったのは、「誰が更新するのか」

飲食店のホームページで、お客様が本当に確かめたい情報は何か。

こだわりでも、歴史でもありません。今日やっているか。席が空いているか。この二つです。そしてこの二つは、毎日変わります。

開福亭様は不定休で、ご予約の状況によって閉店時間も変わります。調理も接客もお一人ですから、その日の状況は前もって決められません。つまり、いちばん大事な情報がいちばん変わりやすい。

更新を考慮した要件定義

  • ここで、制作会社に連絡しないと更新できないサイトをつくってしまうとどうなるか。その情報は、永久に載らないままになります。載っているのは公開した日の情報だけで、来店を考えている方の役には立ちません。
    だから今回の要件定義は、何を載せるかではなく、店主お一人で更新できる範囲はどこまでか、というところから始めました。

04. 管理画面は、機能を足すのではなく削ってつくる

CMSにはWordPressを採用しましたが、標準の管理画面をそのままお渡しはしていません。

WordPressの管理画面は、できることが多すぎます。日常的にパソコンを使わない方にとっては、どこを押せば目的の場所にたどり着くのかがわからない迷路になります。触るのが怖くなれば、更新は止まります。

そこで、お使いになる機能だけを残した簡易的な管理画面を構築しました。お知らせを書いて公開する。やることをそれだけに絞れば、覚えることは一つで済みます。

これも、余計なものを載せないという02の判断と同じ考え方です。更新の仕組みを設計するときの基準は、機能の多さではありません。覚えることを増やさないことです。

05. 納品して終わりではなく、使えるようになるまで

仕組みを用意しただけでは、更新は始まりません。公開後に操作の導入支援を行い、実際に手を動かしていただきながらお伝えしました。

この種の支援がうまくいったかどうかは、感想ではなく、その後に更新されているかどうかでしか確かめられません。

現在、開福亭様のサイトのニュース欄には、その日の空席の状況や、当日の閉店時間の変更が、店主ご自身の言葉で掲載されています。制作会社が代わりに書いた文章ではなく、その日の店の状況が、その日のうちに届いている状態です。

私たちが用意したのは器だけで、中身を毎日入れておられるのは店主です。ただ、その器が触りにくいものだったら、この状態にはなっていません。

まとめ

老舗のホームページで大切なのは、古く見せることではありませんでした。お店の速度に、サイトの速度を合わせることでした。

百年続いてきたお店の顔として恥ずかしくない佇まいであること。その日その日の状況を、店主ご自身が無理なく発信し続けられること。そして、その状態を無理のない費用で保てること。

抑えた予算で始まったサイトですが、公開から現在まで、店主ご自身の手で更新が続いています。かけた費用の大きさよりも、続いているかどうかのほうが、ホームページの価値を決めると考えています。

長く続いてこられたお店のホームページ制作や、ご自身で更新できる仕組みづくりをお考えの方は、お気軽にご相談ください。何を載せるかの整理から、公開後に使えるようになるまでご一緒します。

代表 朝倉 健介

株式会社 ASAKURA

朝倉 健介

百年続いてるお店に、僕らが新しいものを足そうとするのって、たぶん余計なお世話なんです。
もう出来上がってるものを、どう崩さずに画面に移すか。今回やったのは、ほぼそれだけです。
まあ、それだけって言うと簡単そうなんですけど、足すより減らすほうが勇気がいります。何を残して、何を残さないか。今回いちばん時間を使ったのは、たぶんそこです。